エイズが終焉することがあるのか??
全世界のHIV感染者・エイズ患者の累積総数は、2014年末時点で推計3690万人で2000年の310万人に比べて約35%減少したことになります。
これは地道に行ってきたHIV/AIDSに関する啓発活動や抗HIV薬の普及が世界的に広まった効果と考えられています。
要するに過去15年間でエイズ対策は驚くべき前進を遂げたことになります。
エイズが初めて報告されてから30年以上経過し、一昔前までは不治の病とされ恐れられ、過去30年間にわたって約4000万人ものことが死亡しています。
抗HIV薬が登場していなかった1996年当時は、HIVに感染すると平均して6~7年の寿命でしたが、抗HIV薬による治療法が開発されてからは、発症を遅らせることで、平均余命を40年にまで引き延ばすことができるようになっています。
しかし、現時点でも一度体内に侵入したHIV自体を体内から完全に消滅させる治療法は存在していません。
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2014年東京都でのHIV感染者とAIDS患者増加についての考察
特に20代のHIV感染者は、148人で過去最多となっています。
AIDSを発症した人は97人で前年より13人減少していますが、感染者は415人で56人増加しています
AIDS患者・HIV感染者内訳としては、男性が97%を占めています。
自己申告による患者・感染者の感染経路の推定は、同性間の性的接触が373人(73%)、異性間の性的接触が91人(18%)、感染経路特定不明やその他(母子感染、注射針の使い回しなど)は48人となっています。
年齢別では、HIV感染者では20代が最多を占めで148人(36%)、30代が135人(33%)で20~30代で70%近くを占めています
未成年3人、40代98人、50代20人、60代以上11人。
AIDS患者は30代が最多の35人、40代が31人と30~40代の割合が高く、50代が12人、20代と60代以上がともに9人、未成年が1人となっています。
2014年1年間のHIV/AIDSの現状
内訳は、HIV感染者1075人、AIDS患者445人。
年齢別では、HIV感染者数は20歳代が前年より30人増えて343人、30歳代の345人に次いで多い。
AIDS患者数は40歳代が147人で最も多い。
感染経路は、同性間の性的接触によるものが3分の2以上を占めています。
近年のHIV感染者数は1500人前後と高い水準で移行しています。
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2014年日本国内におけるHIV/AIDSの現状について
第138回エイズ動向委員会の報告によりますと、
1.新規HIV感染者のおよそ73%が同性間性的接触、また18%が異性間性的接触による感染です。
2.新規AIDS患者のおよそ58%が同性間性的接触、また27%が異性間性的接触による感染が原因の発症です。
1990年代は異性間性的接触と同性間性的接触が同様の割合で増加していましたが,2000年を境に異性間性的接触による感染が横ばいになったのに対し,男性同性愛者(MSM)の同性間性的接触による感染者が増加しています。
欧米でのHIV感染者の発生数値を単純に比較すれば、日本国内の数が極めて少ないことが分かりますが、これは単に数値が低いというだけで疫学的には日本はHIV感染拡大の初期段階と考えられています。
そのことから今後共、HIV感染予防の啓発を徹底して感染拡大を封じ込める取り組みが必要とされています。
HIV感染を早期に発見する意義とは??
抗HIV薬はHIVを攻撃する機序によって5種類に分類され、3種類以上の薬剤を組み合わせて使うことで、HIVの増殖をほぼ完璧に押さえ込めるようになってきています。
"早期にHIV感染を発見し、きちんと治療していればエイズで死ぬ人はほとんどいなくなり、余命は一般人とほぼ変わらないようになってきています"
しかし、わが国ではHIVに感染するような危険な行為をしてもHIV検査を受けること無く放置し、体調が悪くなってから医療機関を受診し、その時初めてHIV感染を指摘される"いきなりエイズ"が30%以上も存在することを忘れてはなりません。
"いきなりエイズ"になってしまうと、命を落とす危険があるだけでなく、いくら治療を行っても良い効果は得られません。
命を落とす危険があるだけでなく、長い潜伏期間中に他人へのさらなるHIV感染を広げることにもなります。
HIVに感染しても抗HIV薬を正しく飲み続ければ血液中のHIVは検出できない量に減少し、AIDSを発病する事はほとんどなく、まして他人にHIVを感染させる心配も少なく、普段とほぼ変わらない生活ができます。
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